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ワシントン大学のホームレス村

 投稿者:甲斐素直  投稿日:2010年 8月23日(月)23時08分28秒
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   ワシントン大学を中心とする地域は、ユニバーシティ・ディストリクトと呼ばれる行政区です。大学周辺の学生街を歩くと、ホームレスが路上に座り込んでいるのを、かなり見かけます。州政府がなりふり構わず、人員削減に乗り出す状況であれば、民間がそれに先行して人員削減を行っていることは容易に想像できることです。なぜなら、米国の労働法制では、使用者側には、契約打ち切りの自由が随時認められており、日本のように退職金などの一時金支給の必要さえないからです。その結果、企業の経営状況の危機はただちに労働者に転嫁され、貧困層へしわ寄せされて、こうしたホームレスの増加に現れているわけです。
 しかし、大学キャンパスの、すぐ北隣にある教会(University Congregational United Church of Christ)の駐車場が、簡易テントで埋め尽くされているのにぶつかったときにはびっくりしました。何事かと思って調べてみたら、これが何と8月14日に作られたばかりの、ニックルズビル(Nickelsville)と自称するホームレス村だというのです。
 その名は、先のシアトル市長(Greg Nickels)の名にちなんでのことだそうです。彼が市長であった2008年冬に最初のホームレス村ができたのです。同じ2008年冬に、日本でも東京の日比谷公園に、年越し派遣村と呼ばれる施設ができましたが、それのシアトル版とでも言うべきもののようです。最初は、ホームレス避難所の増設を求めて、市有地の不法占拠という形で、ホームレス村が西シアトルにできたのだそうです。警察がそれを強制排除すると今度は州有地に引っ越し、さらにその後、教会から教会へと移転しつつ、ホームレスの支持者達はニックルズ市長の違法キャンプ排除政策と戦ったのです。しかし、市はホームレスに対する立ち退き命令に72時間の猶予をつけることには同意したものの、キャンプの強制排除そのものはやめませんでした。それというのも、ホームレス達は近隣の商店内のトイレで身体や服を洗ったり、歩道に寝て通行の妨害をするなど、大変な迷惑を与えたからです。
 今回、経済状況の悪化を受けて、シアトルに2年ぶりにニックルズビルが戻ってきたというわけです。もっとも今回のは、前回のような自然発生的なものではなく、この駐車場を提供している教会が意図的に作り出したもので、テントもほとんどは教会の所有です。教会の協力者達は、3週間も前から村を開設する準備を始め、大学医学部とも連絡し、学生中のボランティアも募って、近隣に対する被害を減らすべく努力をしているそうです。
 今の時代ですから、ホームレス村も、村のホームページをもっています(http://www.nickelsvilleseattle.org/.)。その冒頭に「2010年経済危機に当たってのシアトル・キング郡ホームレスによる、ホームレスのための宣言(Declaration of a State of Emergency in 2010 by and for Homeless People in Seattle & King County)」というものが載っています。
「シアトル・キング郡からホームレスを無くすための10ヶ年計画は4年目に入っているが、我々の数は依然として多い。我々の避難所は常に定員(訳注:1621人)超過で、うるさく、害虫がはびこり、しばしば床にマットを置いて寝る余地しかない。我々は持ち物をしまう場所がないので、常にすべてを持ち歩かなければならない。早朝、道路に追い出され、絶えず動き続けなければならない。我々は公共の場所では歓迎されず、我々が停まって休もうとすると、貴方たちの警察やガードマンに追い出される。少なくとも我々の3分の1は戸外で寝ているが、そうすると不法侵入により逮捕される。我々の所有物は、絶えず『単に自分の仕事を行っている』公務員によって盗まれ、破壊される。」
 以下、延々とシアトルのホームレスの置かれている厳しい状況が述べられているのですが、想像はつくと思うので割愛します。最後に次のように述べています。
「我々は、失敗するべく定められているワーキング・プアである。低賃金、仕事の不安、医療の不足、過密と手の届かない住宅、頼るべき交通手段を持たないことは、我々を経済危機に対して脆弱な存在にとどめている。〈中略〉私の友人のある者は、費用を負担できないためにワシントン大学からドロップアウトすることを選択せざるを得ず、更に多数は最初の段階で採用にならなかった。現在の、貧困者及びホームレス、労働者及び公立校学生の置かれている状況は、私にベンジャミン・フランクリンの言葉を思い出させる。
『紳士諸君、我々は一緒に吊される必要がある。...さもなければ、我々は確実に、ばらばらに吊されることになるだろう。"We must hang together, gentlemen...else, we shall most assuredly hang separately."』」
 最後のフランクリンの言葉は、1776年8月2日に米国独立宣言が出された際の、彼の演説の一節です。つまり、このホームレス宣言自体が、独立宣言のなぞりであるわけです。この文章からすると、ホームレスにワシントン大学学生だった者もかなりおり、それがワシントン大学周辺にホームレス村が出現する原因になっているようです。
 しかし、教会関係者がどれほど近隣への被害を減らすべく努力をしようと、近隣住民が不快に感じているのは間違いありません。ネットをチェックすると、「何故大学当局は、学生の安全のために反対しないのだ?」とか「私はこれらの人々を助け、彼らにしばらくの間、キャンプをする場所を与えるという考えを評価するが、どうかキャンパスと学生から離れた場所で維持してくれ!」というような意見が多く見られます。
 他方、市役所に寄せられる一般市民からのメイルでは、ホームレスに対して、恒久的なニックルズビルを造るべきだという意見に対する支持が非常に高いのだそうです。また、ホームレスをもっと人間の尊厳を認める形で取り扱うべきだという意見も多いと言います。そこで、現市長(Mike McGinn)としては、当面は強制退去措置を執らず、静観の構えのようです。
 シアトルは、8月でさえ、日中の最高気温が20度に届かないと言う日が珍しくありません。また、最低気温は、最高気温が30度になった場合でも、10度を下回るのが普通です。ワシントン大学の学生新聞に、その記者が、一夜をニックルズビルで過ごした経験を書いていますが、寒さに震え上がって「膝をあごに引きつけて」寝たとのことです。したがって、駐車場に張った簡易テントという現在の体制で冬を越せるとは思えません。グレゴア知事の言うとおり、今後も州の経済状況が悪化するのであれば、ホームレスの数が増えることはあっても減ることはなさそうです。冬が到来する以前に、何とか、より抜本的な対策を講じる必要があるのは間違いないところですが、厳しい緊縮財政の下で、何が政府にできるか、難しいところです。
 
 
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